高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(84)

第8部・笑顔ホクホク(4)
親子料理教室 楽しい記憶伝える食材

●11家族が参加
 夏休みの思い出づくりにコロッケが一役買った。八月二十六日、高岡市上北島自治会有志が開いた親子料理教室のことである。十一家族の約四十人が参加し、コロッケを揚げて交歓の輪を広げた。同自治会は家族同士の親睦(しんぼく)を深めるため、「上北島ファミリー」と名付けた催しを定期的に企画している。高岡市がコロッケによるまちおこしを進めていることから、今回はコロッケ作りをメーン行事にした。
 子どもたちは「初めてのおつかい」と銘打ち、近くのスーパーに出かけ、ニンジンやジャガイモ、ひき肉などの具材を調達。父親は妻の手を借りずに「カレー&チーズコロッケ」「野菜コロッケ」の二種類を仕上げる趣向である。
 普段、あまり台所に立つことがない父親にとって、ジャガイモの皮をむいたりコロッケを揚げるのは少々難題だったが、事前に練習するなどして本番に備えた。運営に携わる石浦秀幸さん(35)は「予行演習をしていたので、できると思っていたが、意外に手こずった。親子で貴重な経験をした」と振り返る。
 子どもたちの評判も上々で、コロッケのできあがりを待ち遠しそうにして鍋の中をのぞきこむ姿が見られた。加藤颯野君(9つ)=南条小三年=は「丸いコロッケや平べったいコロッケをたくさん作った。いつもと違う日曜を過ごせて楽しかった」と声を弾ませ、竹内比呂斗君(7つ)=同小一年=は「お父さんといつもより長い時間、一緒に遊んだ気がする。また作りたい」とご機嫌だった。

コロッケ作りに励む親子=8月26日、高岡市のJA高岡福田支所

●親子で作る味
 上北島ファミリーではこれまで、カレーライス作りやうなぎのつかみ捕りなどを行ってきた。共通するテーマは「絵日記に描ける楽しい思い出づくり」である。庶民の味であり、親子で作ることができるコロッケも格好の題材になると考えたわけだ。
 石浦さんら三十―四十代の親には、小学生のころ、夏休みに両親が自前で企画してくれた納涼祭が楽しい思い出となっている。料理教室の参加者には、コロッケが心を温くしてくれる食べ物との記憶がしっかり刻まれたはずだ。小さなイベントを活用しながら、コロッケの魅力を伝えていくことが、コロッケのまちづくりを下支えすることにつながる。

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