高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(65)

第6部・昼も夜も(5)
山町筋 観光客意識した発信拠点

 土蔵造りの建物が残る高岡市の山町筋で、昨年六月から二種類の「高岡コロッケ」が販売され、人気を集めている。界隈(かいわい)で唯一の食品スーパー「スーパー守山町店」で、「コロッケのまち高岡」の発信に一役買う存在だ。

土蔵造り風の外観で周囲と調和する「スーパー守山町店」

●土蔵造り風の外観  場所柄、地元住民だけでなく、県外の観光客が買い物に訪れる。店ではそんなことも意識して、昨年四月に土蔵造り風の外観に改修した。屋根を瓦葺(かわらぶ)きにし、漆喰(しっくい)で塗り固め、外壁は下見(したみ)板と呼ばれる板を打ち付けるなどして、周囲の景観と調和するようにしたのである。  改修を機に、高岡コロッケ実行委員会が作成した「コロッケマップ」を店内に掲示し、自家製のコロッケを作るようにした。野菜入りとチーズ入りの二種類で、いずれもジャガイモとひき肉をベースにしている。最近では、店の前で揚げたての一品をほお張ったり、食べ歩きをしたりする観光客の姿が見られるようになった。

自家製のコロッケを陳列する店員=高岡市守山町の「スーパー守山町店」

●自家製が半分以上
 以前は仕入れたコロッケのタネを揚げていたが、徐々に自家製の割合が増えてきた。最近では店内で揚げるコロッケ約二百個のうち半分以上を自家製が占めるようになった。店を運営する五福商会の浅野正幸社長(58)は「自家製が先に売り切れることが多い。『高岡コロッケ』の知名度は明らかに上がっており、作る側も励みになっている」と力を込める。
 五月一日の高岡御車山祭が近づくと、店に置くパンフレットがなくなるなど、店は観光案内所としての役割を担ってきた。コロッケキャンペーンの盛り上がりで、観光客からは「『高岡コロッケ』って、どこで食べられるの」「おいしいコロッケの店を教えて」と聞かれることが増えている。そこで「高岡コロッケ」と記した店内広告を掲げるなど、県外観光客へのアピールに力を入れるようにしている。
 「手のひらサイズで持ち歩けるコロッケマップがあれば、店に置くことで観光客にもっと魅力を伝えられる」。こう話す浅野社長は、観光客がコロッケを手に散策する姿が山町で当たり前になる日を、心待ちにしている。

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