高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(60)

第5部・味なまち(10)
イベント出店 出張販売で知名度アップ

 高岡コロッケが今月二、三日、金沢市で開かれた百万石まつりに登場した。道の駅「万葉の里 高岡」を運営するインサイト(高岡市)が金沢城公園近くで販売し、両日とも約二千個をさばく人気だった。金沢では昨年からイベントがある度に出ているとあって「また来てくれたんだね」と声をかける人もいたという。富山だけでなく石川県でも知名度が上がってきたことをうかがわせた。

高岡テクノドームで開かれたイベントに出店した高岡コロッケ=5月19日

●石川でも浸透
 インサイト取締役の金子俊英さん(33)は「石川では安くて楽しい食べ物としてコロッケが富山ほどには浸透していない。もっと広めることができるはずです」と手応えをにじませる。
 インサイトには昨年秋ごろから各種イベントへの出店依頼が相次ぐ。住宅展示場や家電製品展示会、携帯電話店の開店イベントなどで、三月から五月だけで十二件を数える。同じ日に二カ所に出張することも出てきており、百万石まつりの日も富山市内で別のイベントがあり、二班で対応した。
 同社ではイベント出店に対応するため、昨年十一月に四トントラックとコロッケを揚げるフライヤー五台、冷蔵庫をそろえた。以前は経営する飲食店の機器を出張するたびに持ち出していたが、依頼が増えてきたため態勢を整える必要に迫られたのである。
 普段はコロッケの販売に関係ない社員を応援に駆り出すことも出てきた。百万石まつりに参加した林一生さん(29)は通常はデータ入力など内勤の仕事だが「お客さんと触れ合うことができるのは貴重。買った人からありがとうと言われるだけでやりがいが生まれます」と意欲的である。出張販売は人件費や機材費などを考えると決して「おいしい仕事」ではないが、高岡コロッケの盛り上がりを絶やしたくないとの思いから依頼があればできる限り引き受けるようにしている。

●県外から連携話
 コロッケでまちおこしに取り組む自治体として高岡市以外では茨城県龍ケ崎市などがあるが、最近は全国各地でご当地コロッケが登場している。インサイトにはそうした県外の団体からの連携話も舞い込む。まだまだ企画段階だが、金子さんは「道の駅で全国のコロッケを一緒に紹介すると面白いのでないか」と夢を膨らます。たかがコロッケ、されどコロッケ。可能性は広がっていく。

 第5部おわり。第6部は今月下旬から掲載します。

第5部・掲載リストに戻る

エピソードトップへ