高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(53)

第5部・味なまち(3)
カラーたかおか 県外から講演、視察依頼

 コロッケによる町おこしの発端となったサイト「カラーたかおか」を運営する高岡市の若手職員のもとに、県外から視察や講演の依頼が舞い込むようになった。リーダーの表野勝之さん(34)は「ここまで盛り上がるとは思いもよらなかった」と戸惑い気味に話す。活動を始めてから三年で「高岡コロッケ」の知名度は確実に高まっている。

サイトについて話し合うメンバー=高岡市役所

●名物づくりに関心
 今年四月、表野さんは石川県の白山市商工会女性部の講演会で講師に招かれた。同市は二〇〇五年に八市町村が合併して誕生し、旧市町村の融和と新しい名物作りを模索している。特色ある町づくりとして、高岡コロッケが注目されたのである。「これほど有名になったのはなぜか」「今後の展望は」などの質問が相次ぎ、表野さんは関心の高まりを実感した。
 表野さんらがコロッケを取り上げたのは、富山県のコロッケ消費量が全国トップクラスであることに着目し、サイト上にコンテンツ(情報の内容)として掲載したのが始まりである。〇五年一月の「日本海高岡なべ祭り」に屋台を出店したところ、二日間で約三千五百個が売れた。翌年は約一万五千五百個がさばけ、スタンプラリーを実施した今年は二万一千個以上を売るまでになった。
 「カラーたかおか」のアクセス数も五月末で累計六万一千件を超え、北海道や福島のラジオ局でも取り上げられた。「コロッケ白書」と題して紹介する店も、当初の二店から二十二店に増えた。メンバーは休日に二、三軒の店を回っており、小林新平さん(29)は「コロッケ目当てに訪れる客が増えたと、肉屋さんから感謝されることもあるんです」と手応えを口にする。

「日本海高岡なべ祭り」でスタンプラリーの受付をする「カラーたかおか」のメンバー=今年1月、高岡市の高の宮通り

●市民参加を期待
 「せっかくここまできた盛り上がりを持続させたい」というのがメンバー全員の思いだ。しかし、「カラーたかおか」は自由気ままにやってきた仮想の世界である。現実には市役所にコロッケ担当課や予算があるわけではない。宮崎仁美さん(25)が「親子でコロッケをつくるような家庭がもっと増えてほしい」と話すようにメンバーが期待するのは市民参加の広がりである。
 高岡コロッケの常設店を作り、日替わりでいろいろな店のコロッケを置いてはどうかなど、メンバーの夢は膨らむ。「コロッケの町」をしっかりしたものにするためにも、若者の発想や行動力はこれからも欠かせない。

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