高岡コロッケ物語(31)
第3部・あつあつ談義(1)
たかおか観光戦略ネットワーク会長 渡辺康洋氏
食のブランド力生かせ
県外の旅行会社に勤めていたころは、高岡市をあまり知りませんでした。でもブリ漁が盛んな氷見市は社内でも有名でした。食通をうならせる氷見ブリの知名度は高岡の国宝瑞龍寺や雨晴海岸を上回っていたのです。食のつくり出すブランド力は、幅広い世代の人々を引きつけます。高岡コロッケの認知度が高まっている今こそ、新しい名物として全国に売り出すべきです。
高岡短大(現富大芸術文化学部)に赴任して以来、高岡の観光にはどこか物足りなさを感じていました。国宝、重文の寺や美しい景勝地を抱えていながら、そうした資産を生かし切れていないような気がしたのです。
●特化した戦略
旅行業界では、人を呼び込むには宣伝対象を一つに絞ることが大事とされています。しかし、高岡は見どころが多いがゆえに、逆に印象度を弱めているところがあるようです。市としても一つに決めかねているのだと思います。高岡コロッケに特化して宣伝するのも一つの戦略でしょう。
高岡市の中心街で一月に開かれた日本海高岡なべ祭りでは、「コロッケ横丁」が初めて登場して大きな反響を呼びました。その後、東京・有楽町の映画のPRイベントに出店するなど、「コロッケのまち高岡」が全国に広まっているのを感じます。
高岡コロッケ実行委員会では昨年、販売店を紹介する地図「コロッケマップ」を作成しました。これを大きな看板にしてJR高岡駅前に掲げたらどうでしょうか。駅の利用客らの興味を引くはずです。手軽に食べられるよう、コロッケバーガーやコロッケサンドのような形で売り出しても面白いでしょう。ビジネスマンが高岡を広めてくれる宣伝マンになってくれるに違いありません。
第3部「あつあつ談義」では、高岡で地域活性化や観光振興に携わるキーマンに、コロッケによるまちづくりに寄せる思いを聞く。