高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(30)

第2部・夢は揚げたて
加盟店 多彩な顔ぶれ、活動に勢い

 「高岡コロッケ」の幟旗(のぼりばた)が、高岡市内のあちこちで目に付くようになった。昨年六月に実行委員会が発足した当時、二十七店だった加盟店は、いまや四十店を数える。地域や業態など顔ぶれも多彩で、コロッケを名物にする取り組みの確かな原動力となっている。

店内には「高岡コロッケ」のロゴマークが至る所に張られている=高岡市桐木町の「陣太鼓」

●異彩放つ居酒屋
 精肉店やスーパーなど小売り業が多い加盟店の中で、異彩を放つのが株式会社千鳥(高岡市)が経営する居酒屋「陣太鼓」と「いろりの里」である。発足当初からの加盟店で、飲み屋はこの二店を含め三店しかない。
 両店とも二十年以上前から、不動の人気メニューとしてコロッケを揚げ続けてきた。カニを使ったクリームコロッケが最初で、その後、三種類の地元産ジャガイモを混ぜて作った肉コロッケが加わり、昨年秋からはサトイモコロッケも始めた。
 店の入り口や店内には、高岡コロッケのロゴマークのカラーコピーが所狭しと張られ、コロッケに懸ける店の熱意がうかがえる。同社社長の中村勝治さん(57)は「精肉店やスーパー、デパートのコロッケと比べても、味はどこにも負けない自信があった」と振り返る。
 陣太鼓は、高岡市内でロケが行われた映画「八月のクリスマス」にも登場した。二年前の公開以降、映画を見て訪れる県外からの観光客が少なくないが、「高岡コロッケは、どこで食べられるの」と聞かれることがよくある。
 中村さんは「加盟店同士が情報を交換し、PRなどで連携していく必要がある」と語る。一月の「日本海高岡なべ祭り」でコロッケ横丁が出店した際には、自店でもコロッケをすべて半額にし、二日間で二百四十個を売り上げた。
 高岡市内では、これまで伏木地区が加盟店の空白域となっていた。その伏木地区に今月上旬、初めて高岡コロッケの幟旗がはためいた。

伏木地区初の加盟店となった谷沢精肉店

●伏木に初の加盟店
 新たに加盟した谷沢精肉店=同市伏木矢田=は一九七三年の開業で、谷沢正男さん(63)と妻の芙美子さん(62)が二人で切り盛りしている。芙美子さんは「いろんなところでオレンジ色の幟旗が目に入り、気になっていた。なべ祭りのにぎわいを見て決めた」と加盟の動機を説明する。
 幟旗を見た常連客からは「どんなコロッケなの」と興味を示す声が多く、徐々に客足も増えてきたという。「伏木にも、コロッケ横丁のようなにぎわいがほしい」とは芙美子さんの素朴な願いである。
 コロッケにかかわる人たちや市民が抱くまちづくりの夢が、高岡コロッケの取り組みを支えている。

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