高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(27)

第2部・夢は揚げたて
発信地(下) 流通網生かし、全国にPR

 大手のショッピングセンターは、チェーン店ならではの全国規模の営業戦略を展開できるのが強みだ。「高岡コロッケ」の魅力を市内や近隣地域だけでなく、全国各地に広めるには、血液を身体の隅々まで運ぶ毛細血管にも似た流通網の働きが欠かせない。

コロッケを買い求める親子連れ。流通網が高岡コロッケを全国に広げる=高岡市のジャスコ高岡南店

●カタログに掲載
 昨年夏、ジャスコの全国版の「お中元カタログ」に、ホテルニューオータニ高岡の「宝石コロッケ」が掲載された。高級感のある一品として注目され、期間限定の販売だったが、掲載後、県外からの問い合わせが大幅に増えた。
 同ホテル支配人の菅本昇さん(59)は「大手の流通網に乗り、ホテルのコロッケの魅力を全国に届けることができた」と振り返る。保管していたカタログを見たという県外の人から、今もホテルに問い合わせがあるという。
 知名度の点では、テレビや雑誌などマスコミの威力が大きい。しかし、流通網を通した広がりは、遠方の消費者に直接、個別商品をアピールできる利点があり、実際の購入、消費を通して、じわじわと効果が出てくるはずだ。
 ジャスコ高岡南店長の村上仲男さん(49)は「高岡コロッケは市民の間に徐々に浸透してきた。認知度を高めるために、流通の面から協力できれば、うれしい」と語る。
 大手流通業者の間では今、「地産地消」が販売戦略のキーワードとなっている。ジャスコも各地で磨きがかけられた地物の逸品を掘り起こし、店頭に並べている。高岡市内のジャスコ二店が「うまいもの富山」と題して扱うシロエビの姿揚げや地酒もその一つだ。

コロッケ横丁に出店したジャスコ高岡南店の屋台

●地域に密着
 大手流通業者だけに、地元農家から直接、野菜を買い付けるといった小回りは利かないが、地域に密着した商品展開の努力は常に求められている。
 ジャスコ高岡南店が「高岡コロッケ」の加盟店となり、積極的にコロッケ販売に取り組む背景にも、そうした事情がある。一月の「日本海高岡なべ祭り」のコロッケ横丁では、タラバガニ入りのコロッケやチョコレートコロッケが人気を呼び、初めての出店ながら、にぎわいづくりにも一役買った。
 数年前から、地元の菜の花やキノコを具材に取り入れたコロッケを考案し、季節感の演出にも工夫を重ねている。
 富山県や石川県では、ジャスコ各店でもコロッケの人気が高い。高岡南店では、高岡コロッケの人気にあやかり、他店の新作コロッケを店頭に並べる新企画も検討し始めた。コロッケを高岡の名物にする取り組みの中で、流通が持つ力は決して小さくない。

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