高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(25)

第2部・夢は揚げたて
ブランド力 「行列のできる店」で実感

 金沢市の真ん中、石川県中央公園で十日から三日間にわたって開かれたフードピアランド(富山・北國新聞社主催)で、「高岡コロッケ」が爆発的な人気を呼んだ。二店で合わせて七千百個が売れ、ピーク時には八十メートルもの行列ができる盛況ぶりだった。
 「これだけ人が並んだのは、おそらく初めて」とは主催者側の説明だが、まさに「行列のできるコロッケ店」状態は、高岡コロッケのブランド力を関係者に印象付けた。
 金沢の冬の名物イベントとなったフードピアランドには今年、過去最高の七十九店が軒を連ねた。高岡コロッケからも「大仏コロッケ」のインサイトと「氷見牛コロッケ」の柿里が初めて出店した。
 「一日に二千個も売れたのは初めて」と驚きを隠さないのは、インサイト取締役の金子俊英さん(34)である。雨が降った初日は千個とほぼ予想通りの売れ行きだったが、天候が回復した二日目は千六百個、最終日は二千個を売り切った。

フードピアランドに出店したコロッケ屋台の前に行列をつくる来場者=2月11日、金沢市の石川県中央公園

●「謝るのが仕事」
 金子さんは「結局、予想の二倍近い売れ行きだった。七人態勢で対応したが、三人は行列の整理と謝るのが仕事だった」と振り返る。
 二台の機械をフル回転させ、二分間に二十個のペースで揚げたが、昼どきには最高一時間待ちとなった。
 行列をつくる人たちは年齢的にも、性別でも、とりたてて偏りは見られなかった。それでも「高岡コロッケ」という名前は、ほとんどの人が知っているようで、感想を聞くと「新聞で知って、一度食べてみたいと思っていた」と話す人が大半を占めた。
 客の中には、十個、二十個とまとめて買っていく人もいたという。金子さんは「自分で食べるだけでなく、人に見せたい、食べさせたいという気持ちが感じられた」と分析する。土産になるのは、まさにブランド力の証しと言えなくもない。

揚げたてのコロッケを買い求める来場者

●売り込む金看板に
 高岡市では、六月の国への申請を目指して、中心市街地活性化基本計画の策定を進めている。基本計画には、イメージ戦略の具体的な事業として「コロッケのまちづくり」が盛り込まれることが決まった。
 分かりやすく言えば、高岡コロッケを全国に高岡を売り込む金看板の一つに育てようというわけだ。そうなれば、中心市街地ににぎわいを創り出すイベントの柱にも、交流人口を呼び込む力にもなるだろう。
 フードピアランドには、金沢の「ドジョウのかば焼き」、福島県喜多方市の「喜多方ラーメン」など新旧のふるさとグルメが顔をそろえた。高岡コロッケが全国ブランドとして定着するかどうかは、これからの取り組みにかかっているが、好スタートを切ったのは確かなようだ。

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