高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(19)

第2部・夢は揚げたて
売り込む(上) 道の駅の「ふるさと商品」

  道の駅は全国で八百五十カ所ほどあり、観光客の案内施設として重宝がられている。館内には必ず地元の名産品が置かれ、立ち寄った観光客やドライバーに地域の特色を印象付けている。

自ら考案した大仏コロッケに目を凝らす金子さん(左)=高岡市蜂ケ島の道の駅「万葉の里高岡」

●大仏にあやかる
 高岡市蜂ケ島に昨年四月にオープンした道の駅「万葉の里高岡」にも、高岡の銅器や漆器、氷見の海産物など多くの名産品が並ぶが、異彩を放っているのが、高岡大仏にあやかったジャンボサイズの「大仏コロッケ」だ。
 道の駅「万葉の里高岡」は指定管理者制度を導入しており、富山県内で飲食店などを経営するインサイト(高岡市)が運営にあたっている。「大仏コロッケ」は同社が二年余り前に考案したもので、道の駅でもオープンと同時に売り出した。
 インサイトがコロッケを作り始めたのは、二〇〇四年の御車山(みくるまやま)祭にさかのぼる。祭りの人出を当て込んでコロッケ販売の屋台を出したのである。ところが、結果は惨憺(さんたん)たるものだった。高岡を代表する祭りとあって売り切れを期待していたが、わずか百個ほどしか売れず、予想を大きく下回った。
 コロッケの商品企画を担当している同社取締役の金子俊英さん(34)は「一般的な規格のコロッケでは客の心をつかむことができないと分かった」と振り返る。高岡にしかない自前のコロッケを作った理由でもある。
 大きさは一般的なコロッケの二倍以上ある。小判型の縦の長さは約十四センチあるが、事前に設定した数字ではなく、これ以上大きくすると崩れてしまう、いわば限界の大きさなのだという。

大仏コロッケの大きさは、幼児の顔と変わらない

●1日200個以上
 ピーナツと味噌を使った香ばしいソースをかけて売り出したところ、これがなかなかの人気で、販売を大仏コロッケだけに絞った〇四年秋以降は、一日に二百個以上売れる人気商品となった。
 道の駅では平日で二百個以上、土日などの休日で四百個以上が売れている。夕食のおかずとして、わざわざ買いに来る人もいるという。一月十三、十四日に開かれた「日本海高岡なべ祭り」では、二日間で過去最高の千個を売り切った。
 販売担当の松永昭司さん(24)は「観光客から、どうして高岡コロッケなのかとよく聞かれる。消費量の多さを理由に挙げると、納得して買って行く。そんな人がじわじわ増えてきた」と語る。
 インサイトのスタッフの間では、さらに大きなコロッケを作る構想が持ち上がっている。金子さんは「全国の道の駅を代表する『ふるさと商品』に育てたい。ほかでまねのできない商品で、高岡を広く発信したい」と次の一手を練る。まさに限界への挑戦といったところだ。

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