高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(14)

第1部・浪漫あり
たかおか発(上) 新たなまちの魅力、全国へ

企画に知恵を絞る「カラーたかおか」のメンバー。若手職員の発想が「高岡コロッケ」の出発点になった=高岡市役所
マスコットキャラクターの「コロ助」について説明する「調査員」の女性職員

 コロッケによる町おこしの取り組みは、高岡市の若手職員の有志が運営するホームページ「カラーたかおか」が、コロッケ情報を掲載したのが出発点となった。他の情報に比べ、閲覧率が圧倒的に高く、これがきっかけになって、有志の業者による新作コロッケの開発やイベント参加が始まった。
 「カラーたかおか」は高岡市の魅力の発信を目指して二〇〇四年九月に開設された。そのコンテンツ(情報の内容)の一つが総務省の家計調査報告で、二〇〇〇年に全国一を記録し、その後もトップクラスの消費量(販売額)を誇っていたコロッケだった。
 有志のリーダーの一人、表野勝之さん(34)は「もう一度、日本一を目指し、高岡のイメージアップにつなげようというのが狙いだった」と振り返る。

●女性職員が調査
 ホームページに載せる情報は、各店のコロッケの大きさや味の特徴など多岐にわたり、「調査員」役の女性職員が各店を回って実際にコロッケの縦、横、厚み、重さなどを測り、ホームページに掲載した。
 調査員は、ホームページ上では「サク江」と「ホク美」の名前で登場する。「サクサク」「ホクホク」というコロッケのイメージから名付けた愛称だ。現在の調査員は二代目で、サク江さんは七尾円さん(25)、ホク美さんは清水理恵さん(25)が務めている。
 「カラーたかおか」を運営する有志は現在、二十人。コロッケチームとものづくりチームに分かれており、むろん、業務とは一線を画して活動している。調査にはサンプルの購入費や交通費もかかるが、公費の予算はなく、カンパで賄っている。
 このあたりは公務というより、ボランティアに近いのかもしれない。表野さんは「行政はどうしても公平性、公共性に縛られるが、このホームページは、あえてそこから離れて運営している。だからこそコロッケを取り上げることができたのかもしれない」と説明する。


●人口減少対策が
 「カラーたかおか」の開設は、もともと人口減少の対策を研究するために市が設けた「人口問題検討懇談会」にさかのぼる。この懇談会で情報発信による高岡市のイメージアップが提言され、「カラーたかおか」の開設につながった。
 当時、懇談会の副座長を務めていたのが、高岡商工会議所副会頭だった橘慶一郎市長で、市長就任後、ホームページの開設にゴーサインを出した。
 昨年六月に「高岡コロッケ実行委員会」が発足し、コロッケによるまちづくりは新たな段階を迎えた。若手職員が偶然、手にしたまちづくりの種が、市民の熱意も加わって芽を出そうとしている。

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